フロントフォークを考察する

 カートリッジの無いフロントフォークは、圧の減衰が殆ど効いていません。伸びも程々です。

 このシステムで減衰を強くしようとした場合、簡単なのは油を硬くする手法です。ストロークスピードを上中下の三段階に分けて考えると、狙ったところ以外の二つは問題を抱えます。結局全域を満足させるには、全てを中途半端にすることになってしまいます。極端にオイルを硬くすると、ロックピースが凄い効き方になるので、乗り難くなり、殆ど感じなかった圧減衰も顔を覗かせます。

 昨日ここに書いた、フロントフォークの改造方法(社内ではクシダバルブ改と呼びます)はチェックバルブを設ける事で、伸びと圧の比率を任意に設定可能になるので、サーキット走行時に、コーナー入り口でのブレーキしながらの倒しこみを、安心して行えるようになります。

 他社製品は作りが凝っているので、当社の品よりも微調整が可能に思えるのですが、なぜか満足できる性能を発揮しているとは言い難い状況です。それはなぜなのか思索するならば、第一に狙うべき特性を理解できていない。 第二に尖った性能で苦情が来る事を恐れている。第三にテスト不足、等が簡単に見えてきます。

 当社の製品よりも、他社製品を使った方がより、高度なセットアップを可能とするはずですが、一般の方には手におえない作業かもしれません。しかし、ご自身でセットを見つけ出せたなら、ダンパーセット(サスセットとは申しませんが)の飛躍的な理解に繋がるはずです。