舵を入れる刹那

 昔読んだ本に書いてあったので正確ではないかも知れませんが、「刹那」とは1/60秒程度の事を言うそうです。

 昨日、営業で江戸川区を回ってきました。既存のお客様から新規のお店まで7件ほどに顔を出しましたが、そのうちの一件はBMWのE24専門店であるシルキーシックス様です。
 滑らかな回転フィールを評して、シルクの様な回転をする6気筒という意味で「シルキーシックス」と呼ぶそうです。

 同社の社長、原様とは初対面でしたが事前に電話で約束を取り付け、約束の18時に伺いました。最初は現在懇意にしているO/H店があり、仕事は出せないと仰っていましたが、話が進むうち原様の方から要望が出され、それに対してこちらもアイデアを出しつつ、原様の抱えていた欲求に対しての回答が導き出され、もしかしたら理想の足回りに一歩でも近付けるのではないかと言う事になり、今後も少しづつ話し合いを進めて行く予定です。

 二輪、四輪を問わずにサスペンション(ショック、ダンパーの意で総称としてサスペンションと表現しますが)におて重要な要素を、経験から得た話をする中で抵抗(フリクション)について話が及びました。

 舵を入れる刹那、サスペンションが引っ掛かりなくスッと動き綺麗にロールが始まる車。それがどれ程ハンドリングに影響し、車両の質感を高めるのかを力説しました。それは原様も感じてらっしゃる様で、とても共感くださいました。
 この感覚をあっさりと理解してもらえた事には、大袈裟かもしれませんが少々感動を覚えました。本当に車好きで細部に気を配る方ならば、やはりそこにも気づくのだと解りました。

 エンジンは組む技術の大切さは当然の事とし、その前提条件に部品の仕上がりや精度が扱われます。原様の話では、四輪のダンパー屋でその機械的要素を話す人にはあった事がないそうです。当社は友人が勤める会社に依頼し、エア抜きの精度やシム組の変化、ロッド研磨の仕上がり具合を調べてもらい、それらが実際にどれ位変化をもたらすのかを視覚化し確認しています。

 その友人に色々と教えてもらいながら、スライドメタルやロッドガイドの寸法精度が摩擦抵抗に直接影響し、それを人間は質感の高低としてかなり直接的に感じ取る。と言う点に着目しました。そういった事情から、現在はセッティングの下地として機械的要素の底上げ、充実を測っています。それも原社長に話たところ、エンジンに例えることで容易に理解して頂けました。

 細かい説明なしに話がダイレクトに通じる人は、やはり少数です。それはお互いのレベルが高い低いも関連しますが、生きている世界や考え方がより密接に関係している様な気がします。

 面白い方に出会えるのが、営業の1番の面白味ではないかと、改めて考える良い切っ掛けとなりました。

 

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