エア抜き、フリーピストン位置

 今回もエア抜きの重要性を説きつつ、当社の失敗事例を紹介いたします。

 写真はダンパー分解時のオイルを撮影しました。エア抜きが不十分だったり超長期使用で分解時に炭酸の様に泡が溢れ出します。

 雑誌等で散見する「長期間使うとオイルが泡の様になり、性能が劣化する」というのは半分は正しく、半分は誤りがあります。しっかりエア抜きを行えば、写真の様な綺麗な状態を数年単位で持続できるからです。不十分なエア抜きにおいて、前述の炭酸水の様な泡が、たった一度の走行でも発生します。
 ですから、当社はエア抜きを事さらに重視しています。これにより、設計値の性能を発揮できますし、それが長期間持続させられるからです。オイル漏れがなければ数年はそれほどの劣化なしに、その乗り味を楽しめます。

 失敗というのは、当然ですがダンパーはオイルが入っていなければ成り立ちません。しかもその量が十分である必要があります。FGやオーリンズ の様にフリーピストンでオイルとガスを仕切る構造の場合、ピストンの位置によりオイル室とガス室の容量を変化させられます。
 ガス室の容積を大きく取ればロッドストローク時の変化が小さくなる為、一定の作動感を得られます。これはフロントフォークにおける油面高さと同様です。
 このフリーピストンの位置を間違えると、オイルに圧力をかけるはずが、それが達成できない場合があります。これは無知ゆえの産物ですが、構造を理解しないまま作業を行うと犯してしまう失敗です。当社も作業初心者に任せると、この様な失敗をしでかす場合があります。

 そうならない様に、完成後に検査員による完成検査を行う様にしています。

 

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